日本国憲法を読み直す (講談社文庫 い 2-21)

  • 講談社 (1997年1月1日発売)
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感想 : 2
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リベラルな立場に立つ憲法学者である樋口陽一と、大江健三郎や五木寛之らとともに戦後民主主義を支える文化人として知られる井上ひさしによる、日本国憲法についての対談です。

樋口が井上を相手に、たとえば立憲主義の基本的な考えかたについてわかりやすく解説するという内容を期待していたのですが、どちらかといえば対談がなされた1993年当時のアクチュアルな問題がとりあげられているように感じました。とくに憲法改正論議や国際連合の役割、自衛隊の海外派遣などをめぐって、両者が護憲の立場からそれぞれ論評をおこなうといったスタンスがめだちます。

アクチュアルな問題をあつかうということは、それだけ足が早いということを意味しており、2018年現在における憲法改正論議や日米安保体制をめぐる議論は、本書が刊行された当時にくらべると、問題の局面が大きく変わってしまっているように思います。この国のありかたをめぐってかまびすしく論じられている現在の状況に対する直接的なこたえを本書にもとめるのは、すこし困難なのかもしれません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 法律
感想投稿日 : 2018年7月24日
読了日 : -
本棚登録日 : 2018年7月24日

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