シリーズ最終巻。
読捨新聞の門脇の孤独な戦いは、広大な社会という水面に小さな小石を投げ込むような行為にすぎませんが、小さくともいくつかの波紋を作り出していきます。小沢が意識を回復し、彼と早川、そして2人を見守る伊勢谷も、ふたたびスタート・ラインに立つことになります。そして斉藤も、ようやく研修期間の終わりが近づき、自分自身の希望や皆川さんへの想いについて、悩みながらも前へ向かって歩んでいこうとします
医療におけるさまざまな問題に果敢に取り組んだ本作でしたが、斉藤の若々しい情熱が印象的なラストで、最後はさわやかな締めくくりになっています。もちろん、それぞれの問題の難しさを知る人は、こうした終わり方に不満を感じることがあるかもしれませんが、全体を通して困難なテーマをヒューマニズムを基調とするマンガの表現の中で真摯に扱った作品だと言ってよいのではないでしょうか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
青年コミック
- 感想投稿日 : 2017年7月9日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2017年7月9日
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