山の中に逃げ込んだ涼之助は、扇水から受け取ったお守りの弾丸によって、里の人びとから山姥と恐れられるいさが、自分の母であることを知ります。さらに、鍵蔵の妻・てるが、いさの長女・ふゆであり、鍵蔵の世話になっている渡りマタギの喜助がいさを捨てた文助であることることが明らかになります。
思いがけない運命のもとに置かれていたことを知った涼之助は茫然としますが、そこへてるを奪われた嫉妬に狂う鍵蔵の手が迫ります。鍵蔵は次々と殺人を重ねて転落していき、いさは山の中へ戻っていきます。涼之助は、そんな自分自身の運命を見据え、ひとり里を下っていきます。
後半の展開は少し詰め込みすぎのような印象もありますが、おもしろく読めました。土俗的な舞台と物語構造に吸い込まれていくような、不思議な読書体験でした。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本の小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2014年11月29日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2014年11月29日
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