著者がさまざまなところに発表したエッセイをまとめた本です。
「ああすればこうなる」式の考え方がすべてを支配し、そうした理解が通らない現実の存在を消し去ろうとする「都市主義」が、現代のさまざまな問題の背後にあることを指摘しています。
たとえば、環境問題について著者は、「自然を人間社会の感覚で捉えてはいけないというのが、環境問題の教訓である」といい、「自然への視点が乱暴なのは、都市住民の本質である」と述べています。これはニヒリズムではなく、環境問題が「設計主義」の「外部」だということを示して見せたということなのでしょう。環境問題については、西洋の設計主義的自然観を批判するディープ・エコロジーも、べつの設計主義を持ち出して環境保護を訴えるところに、この問題の対処の難しさがあると感じていますが、そのことを著者は鋭く見抜いているように思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本の小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2019年8月18日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2019年8月18日
みんなの感想をみる