あなたの脳にはクセがある: 「都市主義」の限界 (中公文庫 よ 33-2)

著者 :
  • 中央公論新社 (2004年2月1日発売)
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感想 : 8
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著者がさまざまなところに発表したエッセイをまとめた本です。

「ああすればこうなる」式の考え方がすべてを支配し、そうした理解が通らない現実の存在を消し去ろうとする「都市主義」が、現代のさまざまな問題の背後にあることを指摘しています。

たとえば、環境問題について著者は、「自然を人間社会の感覚で捉えてはいけないというのが、環境問題の教訓である」といい、「自然への視点が乱暴なのは、都市住民の本質である」と述べています。これはニヒリズムではなく、環境問題が「設計主義」の「外部」だということを示して見せたということなのでしょう。環境問題については、西洋の設計主義的自然観を批判するディープ・エコロジーも、べつの設計主義を持ち出して環境保護を訴えるところに、この問題の対処の難しさがあると感じていますが、そのことを著者は鋭く見抜いているように思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本の小説・エッセイ
感想投稿日 : 2019年8月18日
読了日 : -
本棚登録日 : 2019年8月18日

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