今回は、雑誌『文芸春秋』の連載以外のエッセイが多く集められているため、硬軟とりあわせた仕上がりになっています。
著者の教え子である柴門ふみの『あすなろ白書』(小学館文庫)の解説も収められているのですが、この著者は何を書いても自分のペースにもっていかないと気がすまないのか、と少々呆れてしまいます。
そういうわけで、大部分は屁理屈全開、いつもの土屋賢二なのですが、「合理的疑い」と題されたやや長めの文章は少し趣を異にします。野矢茂樹の文章よりも若干ジョークの配分が多いかな、といった程度で、ユーモア・エッセイというよりも哲学的エッセイというべき内容だと思います。こういう文章を読むと、あらためて著者が哲学教授だったことを思い出します。あるいは著者自身も、たまにはこういう文章を書かないと自分が哲学教授だということを忘れてしまうのかもしれません。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本の小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2018年10月29日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2018年10月29日
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