外交官を辞めて専業作家となった著者が、これまでに発表してきた論文、エッセイ、対談、座談会などを集めた本です。
10の「講座」と銘打たれた章で構成されており、著者の知的関心のひろがりをうかがうことのできる内容になっています。塩野七生の『ローマ人の物語』の完結を受けておこなわれた、著者と塩野、そしてイスラム思想の専門家である池内恵の鼎談は、興味深く読みました。塩野自身がみずからの著作における「史観」を語っているところも興味深かったのですが、キリスト教とローマとの関係について著者が塩野とは異なる立場に立ちながらも、キリスト教のうちから一神教的価値観を乗り越える動きが現われていることに触れて、現代の国際政治の課題にまで説きおよんでいるところは、いかにも著者らしい歴史の「使い方」が示されているように感じました。
ほかにも、ホリエモンとの対談で検察との戦いかたについて語っているところや、マンガ家の伊藤潤二との対談でマンガという表現の可能性について考察を展開しているところなど、興味を惹かれる内容が含まれていて、おおむねおもしろく読むことができました。。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
学問・読書・知的生産
- 感想投稿日 : 2021年2月17日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2021年2月17日
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