「自殺の方法」というかたちをとって表現された、著者の死をめぐるエッセイなどをまとめた本です。
「「人間いかに死ぬべきか」と思ったら、まずその尊厳を守り、方法化し、殺されるという受け身の死を排さなければならない。そして、死ぬ自由くらいは自分自身で創造したい、と思うのだ」と語る著者は、自殺を演出するためのさまざまな方法に心を配り、自殺のしかたを詳細に解説します。さらに、藤村操や円谷幸吉、あるいはサン=テグジュペリの『星の王子さま』などにおける死について、衒学的な議論を展開して見せます。
デュルケームは『自殺論』において、自殺という実存的なできごとを社会学的な観点から論じる視点を示しましたが、著者はみずからの死を演出するという試みを通じて、社会的な意味へと還元された自殺をもう一度自分自身のもとにとり返そうとする身振りを演じて見せています。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本の小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2022年8月17日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2022年8月17日
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