新社会哲学宣言 (現代自由学芸叢書)

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  • 創文社出版販売 (1999年9月1日発売)
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著者は、近代における学問の専門化が進行したことにより、哲学が公共的な問題について考察することから撤退してしまった現状を問題視し、それを乗り越える総合的な学問としての哲学を再構築しなければならないと訴えます。

本書では、こうした問題意識に基づき、哲学、社会学、政治学、経済学など人文社会科学のそれぞれの分野における課題を概観するとともに、それらの課題を総合的な視座から捉え返すことで、トランス・ディシプリナリーな哲学を構築しなければならないという主張が展開されています。ただ、「新社会哲学宣言」というタイトルである以上、やむをえないのかもしれませんが、そうした総合学としての哲学の必要性を訴えるにとどまっていて、著者自身の公共哲学ないし社会哲学の中身については、あまり踏み込んだ考察が展開されていないのが残念に感じました。著者自身の立場の、せめてアウトラインだけでも示してほしかったように思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学・思想
感想投稿日 : 2017年2月26日
読了日 : -
本棚登録日 : 2017年2月26日

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