珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社 (2012年8月4日発売)
3.30
  • (353)
  • (926)
  • (1280)
  • (441)
  • (132)
本棚登録 : 9652
感想 : 1135
4

主人公の青年が、京都市内にある純喫茶「タレーラン」で、求め続けていた理想の味のコーヒーに出会うところから、物語は始まります。しかし、若くして店のバリスタを務める切間美星(きりま・みほし)は、人並みはずれた推理力の持ち主で、青年が書き残したメール・アドレスから、彼の名前はアオヤマに違いないという推理を披露します。

こうして、アオヤマ青年は喫茶タレーランに通いつめることになり、美星がいくつもの難事件を名推理によって解き明かしていくのを、目撃することになります。ところが、そんなアオヤマに、胡内波和(こない・なみかず)という青年が声をかけ、かつて美星がストーカー被害に遭っていたことを聞かされます。胡内は、長く他人に対して心を閉ざしていた美星が、アオヤマに対しては少しずつ心を開こうとしていることを知り、彼女を守ってほしいと告げますが、それ以来美星の過去にまつわる思いがけない事実が明らかになり、さらにアオヤマの元カノの虎谷真実(とらや・まみ)もストーリーに絡んで、物語は予想外の結末を迎えることになります。

三上延の『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズ(メディアワークス文庫)や、東川篤哉の『謎解きはディナーのあとで』(小学館)と同様、ややライトノベル的なキャラクター造型のミステリですが、上の2つの作品に比べると、ミステリとしてのストーリー構成が巧みだと感じました。その一方でキャラ立ちという面では、若干劣る印象を受けてしまいました。この作風だったら、栞子さんや景山のように、もっと「狙った」キャラ設定でもよかったのではないかと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本の小説・エッセイ
感想投稿日 : 2016年3月27日
読了日 : -
本棚登録日 : 2016年3月27日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする