珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 宝島社 (2012年8月4日発売)
主人公の青年が、京都市内にある純喫茶「タレーラン」で、求め続けていた理想の味のコーヒーに出会うところから、物語は始まります。しかし、若くして店のバリスタを務める切間美星(きりま・みほし)は、人並みはずれた推理力の持ち主で、青年が書き残したメール・アドレスから、彼の名前はアオヤマに違いないという推理を披露します。
こうして、アオヤマ青年は喫茶タレーランに通いつめることになり、美星がいくつもの難事件を名推理によって解き明かしていくのを、目撃することになります。ところが、そんなアオヤマに、胡内波和(こない・なみかず)という青年が声をかけ、かつて美星がストーカー被害に遭っていたことを聞かされます。胡内は、長く他人に対して心を閉ざしていた美星が、アオヤマに対しては少しずつ心を開こうとしていることを知り、彼女を守ってほしいと告げますが、それ以来美星の過去にまつわる思いがけない事実が明らかになり、さらにアオヤマの元カノの虎谷真実(とらや・まみ)もストーリーに絡んで、物語は予想外の結末を迎えることになります。
三上延の『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズ(メディアワークス文庫)や、東川篤哉の『謎解きはディナーのあとで』(小学館)と同様、ややライトノベル的なキャラクター造型のミステリですが、上の2つの作品に比べると、ミステリとしてのストーリー構成が巧みだと感じました。その一方でキャラ立ちという面では、若干劣る印象を受けてしまいました。この作風だったら、栞子さんや景山のように、もっと「狙った」キャラ設定でもよかったのではないかと思います。
- 感想投稿日 : 2016年3月27日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2016年3月27日
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