チャイルド44 下巻 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2008年8月28日発売)
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本棚登録 : 2435
感想 : 315
4

上巻において出落ちと思われた冒頭のシーン。
これこそが作者が読者に仕掛けた叙述トリックだったのかと後半で驚愕。
ソ連で40人以上の少年少女を殺し、ケースに入った状態で出廷したアンドレイ=チカチーロ。
彼のトラウマの一つに幼いころ兄が殺されて食べられたと聞かされ育ったことというのはwikiでも調べればわかる。
つまり、この話はソ連の体制が生んだ惨劇を中の人が解決していく話なのかと思いきや、主人公の心のうつりかわり、家族の再生の物語らしいと解釈したら、実は……ネタバレなので、ここでストップ。
あの出落ちはサスペンスマニアの多くが知っているあの事件を想起させるためのミスディレクションだった。
むしろ、それがなければもっと早い段階でつながりに気付いた。
下巻はライーサの壮絶な過去。おおよその見当はついていたが、男たちにも言い分はあるだろうが女子供、特に美しい女は普通の時ならともかく、法が守られない場所ではこういった目にあわされる。
つい先日も正義を掲げる国の軍隊が子供たちに何をやったか明らかにされ、世界の批判を浴びている。
その中でライーサがレオに対して恋心を告白するシーンは救いのひとつだ。
信じることがお互いにできなかった夫婦が相棒、そして恋人になっていく。
彼女はレオに対して愛を抱いたことはない、と上巻で告げるが、それは誰に対しても同じだったのではないかと思う。
この二人が最後家族を作っていく決心を示すシーンに、ここまで頑張って読み続けてきてよかったと思った。

しかし、ヤンデレな男二人に熱愛執着される主人公っていったい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 熱い男たち
感想投稿日 : 2015年9月20日
読了日 : 2015年9月20日
本棚登録日 : 2015年9月20日

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