吉田修一さんの新刊。
なんだかいつもの作品と様子が違います。
不穏な空気と晴れない気持ち。
少し戸惑いました。
”愛に乱暴”かぁ…。
自分の中でこの小説の位置が定まりません。
小説を通して色濃く存在している桃子について思いを巡らせてしまう。
どうしてあんな壊れ方になってしまったのか?
桃子の送った8年間の結婚生活とは?
桃子の、自分の解釈ばかり一人歩きしすぎているところが痛々しい。
夫との関係の破綻してきてからは興奮して相手の話を聞けず、自分の言葉ばかりを投げつけるのが哀れで辛かったです。
日記の部分、初めのうちは面白く読んでいたのだけれど、途中から苦しくなってきました。
自分を見つめるということはきっと、普通の人にとって相当に難しいことなのだろうと思う。
夫・真守や義母が、本当のところどのような考え方をし、桃子に対してどのように接し、どんな風に感じていたのか?
この作品の形から外れるところなのは承知の上ですが、そのあたりのもやもや感が残ります。
でも夫婦と不倫なんていうテーマで吉田修一さんが書くとこんな風になるんですね。
描写の繊細さや、絶妙な加減がやはりすごいと思いました。
これからもずっと吉田修一作品を読みたいです。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年7月13日
- 読了日 : 2013年7月13日
- 本棚登録日 : 2013年7月13日
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