西さんワールドが溢れて、溢れて、そして散らばった っていうのが読み終わった印象。
気軽に読み始めたけど、たくさんの要素が詰め込まれていて、正直時間はかかってしまった。笑
石井しんじの「ぶらんこのり」に似てるな、と思う。
ふわふわと抽象的で、でも引き込まれる。
他の作品も何冊か読んでるけど、いつものはっきり明快な芯というか、伝えたいことというか、完成された登場人物像というかがあんまりなくて、ムコさんやツマと一緒に悩んで答えを出していくかんじが新鮮だった。
ムコさんとツマの田舎での暮らしは、時間の流れがずうっと遅くて、色鮮やかで、素直に素敵だなと思う。
「どれも私たちにこう言ってくれる、遠慮しないで!私たちは堂々と大声で笑って、いつまでも座り込んで、時おりどたどた走って、そして大きな鼾をかいて眠るのだ。」
そして最後の結論は、西さんらしくいたってシンプル!優しく温かいもので締めくくられてたのはよかった。
「僕は、人生というものが、ただそこにあるものだと知った。(中略)そしてそれはそこにあるだけで、それだけで安心して眠るに値するものだと、目覚める理由があるものなのだと知ったのです。」
「ツマがそこにいること、人生のように、日常のように、そこにただいてくれるだけで、安心して眠りにつけるのだということ、堂々と、幸せだと笑っていられること。」
「僕は、ツマを愛しています。」
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年4月7日
- 読了日 : 2019年4月7日
- 本棚登録日 : 2019年4月7日
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