「どーも読むたびにあなたの顔が浮かびます」と言って、
友人から勧められた。
開いてみると、
眠れない夜に一人しりとりをし、そのために昼間は語彙力強化に努める話
電車における現代兵法の分析
”流しのOL”になった自分をトイレの居眠りで思い描く姿
新幹線の”鼻”には誰かが入っているという妄想
そして、そんな自分は幼稚園の時代からそんな自分であったこと
……そんなことが綴られていた。
悔しいが、友人の評は間違っていない。
壁から毛むくじゃらの腕が伸び出るのを見たことがある。
一軒家の下にある格子がはめられたあの場所は、トトロが入る以外の目的があるのか、いつも気にしていた。
ソファの隙間から突然さかさギロチンが出てきたらどうしようと、いつも縮こまって座っていた。
落としたお米を拾うとき、”千人の神様”を想像してしまって、その一粒がひどく重く感じられる。
自分以外の人間は、自分が見ていないときは電源が切れているのかもしれないと想像したりする。
……そして、そんな自分は幼稚園の時代からそんな自分であった。
ただ一つ言っておきたい。
小豆枕の日本兵は絶滅したかもしれないが、
そば殻枕の笠地蔵は、平成の世にも生きていると。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2010年10月2日
- 読了日 : 2010年10月2日
- 本棚登録日 : 2010年9月11日
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