精神の生態学 改訂第2版

  • 新思索社 (2000年2月1日発売)
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〈メタローグ〉
メタメッセージ。内容だけでなくコンテキスト自体がメッセージを送っている。一元論的理解

〈文化と型式〉
分裂生成。対極の要素を選ぶような(場合分けをするような)二元論で文化を理解するのではなく、その二つを一つのセットと見なす。そのなかで要素と全体が表しているメッセージ、コミュニケーションがある。

〈関係と病理〉
第二次コミュニケーション形成(メタ認識)がない限り第一次コミュニケーションも成立しない。
そのようなメタの視点に立てず、反論できなくなる状態がダブルバインドであり精神分裂へと繋がる。
学習とはコミュニケーションの積み重ねであり(階型論)、コミュニケーションがメタ化していく過程で全体のシステムとしてのコミュニケーションを理解する。
対称性、相補性のうち、対称性が物事のエスカレートへと繋がる。物事の認識は、コミュニケーションのサブゲームシステムがあり、それを包括するシステムがあるというような認識が必要。

〈情報と進化〉
体細胞の変化が遺伝子の進化へと繋がる。つまり小さな情報変化が進化を生み出す。
個体発生の対称性異常も情報のシステムの問題。

〈生命と認識〉
認識は自己を超えて、生態のシステムのなかすべてで適用する。二元論から一元論への収束。システムのなかでサイバネティクス的に意味が決まる。

〈文明と健康〉
文明もシステムの進化とともに成熟する。ヴェルサイユ条約はダブルバインドを生み出し負のスパイラルをドイツに課した。
環境破壊も生態システム(人口、エネルギー、思考様式)が歯止めのきかないループに陥ることで深刻化する。対称性を持つループをいかに相補的に打ち消す逆の動きを取り入れるかが重要になる。

〈総括〉
精神を高い次元に持っていくためのステップをベイトソンは強調している。高い次元に到達するということはメタ学習、メタコミュニケーションの認識を行うということだ。メタ化することで第一次学習も理解できる。むしろメタ化しない限り第一次学習を理解することはできない。メタ化はシステム全体(サイバネティクス、コンテキスト)を包括する方向に向かう。システムが一方向に加熱しすぎないように相補的な動きが必要。
二元論から一元論といった哲学的な議論から、生態学、心理学、経済学まで含めた包括的な議論であるため荘重さを増している。

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感想投稿日 : 2023年1月24日
本棚登録日 : 2013年7月24日

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