猟奇殺人を犯した弟(少年A)の兄の生き様。
猟奇殺人の内容については、酒鬼薔薇聖斗事件を模しているようだ。
単純に加害者が悪い、被害者が可哀想という視点ではなく、被害者家族の苦しみ、加害者家族の苦しみ、そして加害者の心の動きまでもが繊細に描き出されている。
弟は何故犯罪を犯したのか?
少年Aの兄が弟の心の闇を探すなかで、少年少女たちの大人になりきれない、不安定な心と、成長していく様を描く。
少し残念なのはラストシーン。
現実の事象という外部の視点よりも、心の葛藤という内部の視点を繊細に少しずつ描いてきたのに、ラストシーンだけは2時間ドラマのラストのような大ざっぱさを感じた。
教育、いじめ、少年法、マスメディア報道等、本書が問題提起している点は多いが、本書はそのような社会風刺的小説として読むよりも、単純に少年少女たちの心の動き、弱さを感じて読むことを著者も望んでいるように感じる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
石田衣良
- 感想投稿日 : 2012年9月15日
- 読了日 : 2012年9月15日
- 本棚登録日 : 2012年9月15日
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