自然を正しく知らなければ、また私たち人間が自然に対して何をしているかを知らなければ、人類文明の未来は闇である。
天文学者・海部宣男さんが『毎日新聞』「今週の本棚」に連載した書評をまとめたもので、宇宙論や天文学だけでなく、進化や化石、温暖化の問題など様々な科学の話題を扱い、そのおもしろさを教えてくれる一冊だ。
※本書は150点の書評から読まれるべき101冊に絞り込まれ構成されています。
およそ15年に及ぶ海部氏の読書の軌跡は、いわば科学全般へのトータルな水先案内ともいうべきもの。各章には書き下ろしのコラムも寄せており、そこでは科学者ならではの科学・技術論も紹介されている。
「科学とは世界を知ること」という著者の科学批評は、科学について関心をこれまで抱かなかったひとや「僕はニガテなんです」という方に是非読んでもらいたい。
さて本書はくどいようだが書評集。その特色を最大に活かしたい。そう、、関心のある問題については、本書から探究を出発することができるのだ。
-----
自然を正しく知らなければ、また私たち人間が自然に対して何をしているかを知らなければ、人類文明の未来は闇である。未来のために科学の見通しに基づいた賢い政策をとれるよう、日本社会も、科学を基礎においた組織・システムに変わってゆくことが必要だ。そのためには科学者自身も広い視野を持たねばならない。
「知りたがりの動物」である人間は,知りたがりという特性を活かすことでしか、困難な未来を切り拓いてゆくことはできないのである。
科学の本を読むこと・紹介することからも、そうした未来につながってゆければと願っている。
「あとがき」より。
-----
- 感想投稿日 : 2012年4月17日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年4月15日
みんなの感想をみる