神津恭介、犯罪の蔭に女あり: 神津恭介傑作セレクション2 (光文社文庫 た 4-45 神津恭介傑作セレクション 2)

著者 :
  • 光文社 (2013年5月14日発売)
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感想 : 15
3

傑作セレクション第2弾。
タイトル通りどれも謎に満ちた女たちが登場しますが、それほど女が強調された話でもないものもあり、このタイトルの括りでの一冊としては少々物足りない。
そして全体的に複雑な構成のお話が多かった気がします。

ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










【死美人劇場】風で飛んできたストリップ劇場のポスターがイケメン神津の顔に貼りつく冒頭がちょっと笑える。
被害者の誤認、アリバイトリック、想定外の事故、狙われた男女が逆に罠を仕掛けるなど捻りがありましたが、強烈な登場人物たちも加わってよく分からないままバタバタと終ってしまった感。
神津の思惑にはびっくりしました。

【嘘つき娘】つい嘘をついてしまうという娘の証言の信憑性をめぐるサスペンス色の強い一編です。名乗り出ない謎の男、片方の手袋、脱ぎ捨てられたオーバーなど、現場の状況からの推理には納得。
ただ、背中を刺された死体が、結局自分でも出来るよ、と他殺をあっさり否定したのにはちょっとがっかり。
狂気じみた女の妄想と現実の境の危うさがおもしろい一編でした。

【青髭の妻】狂気の女はまさにこの短編集に相応しい人物でした。その最後も劇的で良いです。
それにしてもいろいろな事が起こるのでてんやわんや。最後の解決場面の演劇などいちいち考え込んでしまいました。ちょっと早足なんじゃ。

【女の手】飲んだくれていた松下くんの前に現れた謎の女性。そして腕のない女の死体の発見。
腕を切り取られた理由、更には腕を切り取ったにも関わらず神津の手にまんまと乗ってしまう犯罪者の心理というのがおもしろいです。
犯人が全く分からない状況で、女掏摸士の殺害から容疑者を絞り出したのは流石。
神津さんが体張っていて楽しく、松下君のだめだめっぷりが可愛い。

【ヴィナスの棺】亡霊から自分の遺体を探してほしいと依頼される不思議な冒頭。怪しいホラーっぽい展開。
遺体の隠し場所と宝石の行方の謎がメインになっていますがこれは分かりやすい。しかしラストの発見場面はインパクトがあり楽しいです。

【血塗られた薔薇】登場人物が多いですね。しかも真相がわかってからだと更に混乱します。
犯人の動機や行動がすごくグッとくるんですが、短編だからかそのへんがさらっとしてたのがちょっと寂しい。
しかしこの話の松下くんはひどい。酔っぱらってるだけだった。
ラストの神津さんは素敵なのですが、彼女がいつの間に二人にとってそんな大きな存在に?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内ミステリ
感想投稿日 : 2014年1月24日
読了日 : 2014年1月24日
本棚登録日 : 2013年12月20日

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