青空

著者 :
  • 講談社 (2000年8月1日発売)
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人が人と結びつくこと

 「もっきり屋」の一人娘、美有は16才。ボーイフレンドの祐一とはオートバイに同乗してスピードを出すのが好きだ。祐一は美有とセックスしたいという思っているのだが、美有はそれが嫌だ。
 ある日、店で印象的な老人、岩尾伊佐治に出会う。
 伊佐治は画家だった。彼は、美有をデートに誘い、語り、様々な場所へ彼女を連れていく。
 美有はだんだん、伊佐治に惹かれていくのだが、彼は74才、老人だ。男ではないという意識が常にある。
 その後、美有は自分のことを「ミュウ」と呼んでくれる友人に久しぶりにあった。彼女は、いわゆる不良グループの中にいた。名前は理沙。妊娠しているという。9ヶ月で死産にするつもりらしい。
 その彼女が消えた。それを教えてくれたのは同級生の安奈。彼女は、ずっとバレーをやっていて、美有と同じように群れをつくることを嫌っている。話をしてみると、「もっともっと語り合いたい」気持ちになった。
 祐一がまたセックスを強制しようとして、ケンカになった。
 ある日、アトリエで伊佐治から「蛸が女にからみついている」春画を見せられ、その生き生きとした吸盤から、それが伊佐治に見えてきた。
 そして、伊佐治の愛人という綺麗な男と歩いている彼を見て、嫉妬する。アトリエの2階で2人は抱き合い、伊佐治は持病の心臓のため倒れてしまい、病院で死んでしまう。
 ある日、美有がアトリエに行くと、伊佐治はすでにいなかった。しかし、彼女の心の中には伊佐治は生き続けていくのだった。
 理沙は結局子どもを生むことになり、結婚するという。安奈もひとりではなくなった。
 美有もいまはひとりではない。

 作者は、1955年、札幌生まれ。「百合祭」は映画にもなっている。
 彼女は、年寄りがいつまでも男であり女であり、人であることを物語る。この話の中でも16才の女と74才の男は、しっかりと結びついている。
2009-02-14

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年2月3日
読了日 : 2015年2月3日
本棚登録日 : 2015年2月3日

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