〈つながる〉技術―未来のためのソーシャル・コミュニケーションガイド

  • 春秋社 (2010年10月1日発売)
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社会の変化に伴い、ライフスタイルの変化が余儀なくされています。この影響は、心だけでなく体をも蝕むケースがあります。これにどのように対応していけば良いのか、その処方箋を精神科医である著者がその体験を元に提示している書籍です。

 最終的なゴールは持続可能なコミュニティですが、そのために、まず、エコロジカルなコミュニティに参加することからスタートしていくことを提案しています。このコミュニティを通じて、既存のヒエラルキー社会と接していくことを提案しています。さらに、そのコミュニティでの活動に際して、言葉、活動という二つの点から、方法についてアドバイスしています。

 エコロジカルな最小のコミュニティとしての家庭(家族)にフォーカスした議論・提案があった方が、より良かったと思いました。

訳者後書きより
 著者のジェローム・リス氏は、イタリアで活躍するアメリカ出身の精神科医です。
人を丸ごと、身体も含めて治療する身体心理療法(ボディサイコセラピー)の創始者。
彼のエコロジカル・コミュニケーションは、彼の体験に基づいた、一人一人のリソースを最大限に活かすエコロジーの本質と、そこから生まれ得る社会的変革の力が丁寧に描かれています。

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以下、内容のメモ。

持続可能なグループ
エコロジー
 環境(全体)と生物(個)の相互作用を考える学問
エコロジーのコミュニケーションへの適用
 個人(多様性)を尊重すると同時に、グループ(環境)を尊重する。
エコロジカル・コミュニケーション
 リソース(資源)、成長、個人性、全体性

新しいコミュニケーションのガイドブック

ヒエラルキー社会
 メリット
  効率がよい
 デメリット
  下からのフィードバック(応答)を柔軟に受け入れられない。

仮説
 社会がもっと生きやすくなる変化は、「人」という資源からもたらされる。
 「人」がおのおのの資源、美質を十分に開花させたとき、変化や変革は一種の収穫のようにもたらせられる。そのための大切な原則は、「みんながそのプロセスに参加する」ことである。

ファシリテータ
 つなぐ人
 スキル
  ・衝突を避けながら導く方法
  ・毒を生まずに刺激する方法
  ・芽を摘み取らずに統合する方法
  ・援助が窒息にならない方法
  ・大混乱の中で忍耐する方法
  ・適宜介入する方法

ヒエラルキー・グループからエコロジカル・グループへ

ヒエラルキーグループ(1)
 リーダーが最終的なすべての決断をする。
 メンバーは決断に携わらず、フィードバック、提案も受け取られない。
 メンバー同士のやりとりも行われない。
ヒエラルキーグループ(2)
 リーダーが最終的なすべての決断をする。
 リーダーは一部のメンバーからの意見や提案を聞くことは聞く。
 一部のメンバー同士のやりとりも交わされる。
ヒエラルキーとエコロジカルが混ざり合った中間的なグループ
 リーダーが大部分の決定をする。
 リーダーはほとんどすべてのメンバーの意見や提案を聞く。
 一部のメンバー間のやりとりが活発である。
エコロジカル・グループ(1)
 リーダーの力は弱まり、ファシリテータの存在が現れてくる。
 メンバーと物事の決定プロセスを共有する。
 どのレベルにおいても相互のやりとりがある。
エコロジカル・グループ(2)
 ファシリテータだけがグループをコーディネートしている。
 メンバーから出された提案を、メンバー全員が話し合って決定する。
 メンバー相互のあらゆるレベルで活発なやりとりが交わされる。

つながる技術 言葉編
コミュニケーション
 コミュニケーションを停滞させる9の罠
  ・独り占め
  ・決めつけ
  ・モラルの押しつけ
  ・批判がすぎる
  ・あいまい
  ・座りっぱなし
  ・脱線
  ・いい加減
  ・約束が守られない

 ・意図がずれている
 ・認識がずれている
 ・表現方法がずれている
 ・方針、抑制がない

 気持ちよく話し合う
 批判を上手に伝える
 柔らかくものを見る

つながる技術 行動編
 悩みを開く
 ことを起こす、人と会う
 行動のブロックをほどく

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: lifehacks
感想投稿日 : 2011年7月23日
読了日 : 2011年7月23日
本棚登録日 : 2011年7月9日

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