日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2019年7月17日発売)
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本棚登録 : 291
感想 : 26
5

いい本でした。

筆者は、①何を学んだかが重要でない学歴重視、②一つの組織での勤続年数の重視、という二つが、「日本社会のしくみ」を構成する原理の重要な要素と考え、それが成立した歴史的経緯を豊富な資料をもとに解き明かします。(そう言うわけで、注釈や参考文献が多いです)

それは日本文化の特色などではなく、明治以降の日本が置かれた環境のなかで積み重ねられた偶然の蓄積によって生まれたものなのです。

「日本社会のしくみ」が成立していく過程を描く中で筆者が紹介するエピソードの数々は、初めて知る話が多くて、そう言うことだったのか、と膝を打つことが何度もありました。

個人的には、
・大学を卒業してから何十年もたったおじさんが、学生時代の成績にこだわる理由
・日本のお役所が7月に人事異動する理由
・大阪圏からの人口流出が1970年代から始まっていたという事実
が、目から鱗なポイントです。

本書は日本の雇用慣行が成立した経緯を解き明かした本ですが、副題は「雇用・教育・福祉の歴史社会学」となっています。雇用について書いた本が教育や福祉とどうつながるのか、それはネタバレになるので、是非本書をお読みください。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: おすすめ
感想投稿日 : 2021年1月3日
読了日 : 2021年1月3日
本棚登録日 : 2021年1月3日

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