壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)

著者 :
  • 文藝春秋 (2002年9月3日発売)
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本棚登録 : 6259
感想 : 639

下巻はずーーと涙。周囲をはばからず、電車の中で涙流しながら読んでいました。良い本だった。
なんで泣けるんだろう?切ないというか、ひたむきさ,まっすぐさに心打たれるというか、誰もが一生懸命に生きている、自己のためではなく、家族のため、友のために、義のために。そして周囲もそのように生きてきた人をちゃんと見ていて、思い出してくれて。
吉村貫一郎を嫌っていた斉藤一が、実は唯一分かち合えたのがその吉村だったり。あらゆることを考えて、敢えて辛いことを言わなければならなかった大野次郎衛門。吉村嘉一郎と大野千秋のやり取りにみつの存在。すべてをずっと見てきた佐助。もうそれぞれの語りが涙・涙。
嘉一郎の話が一番泣けたかなあ。親のことを思い、妹・弟のことを思い、友のことを思い、藩のことを思い、ただ義のために。貫一郎の生き写しのように。

子供のいる男親がこの本を読むと感じ方が格別なんだろうな。ウチは嫁さんだけですが、やはり家族を守るために生きるんだと改めて思わせる本だった。

武士道というモノは本当は何なのか。正しい(?)武士道とは何なのか。悩んでしまった。巷で言う「武士道」とは、何かどこかで履き違えているような気がする。
やっぱり、「切腹」の思想が刷り込まれた人生観ってどこかがおかしい気がする。要は自殺でしょ?生きてこそ、のはず。だから、吉村貫一郎も宮部久蔵も死なないために生きてきたはず。

ここまで熱く篤く厚く生きられたらと思う。他人の記憶に残る生き方をしたいね。男として、まっとうな生き方をしないとな。
フィクションなんだけど、じぶんの中では、もはや史実であり、ノンフィクションのように感じられた。

結局、聞き手は誰だったのだろう?読んでいるあなたですってこと??
盛岡を訪れてみたい。

永遠の0は、万人受けというか、若い人にも読んでもらいたい、と思いましたが、こちらは読み手を限定するかな?男、しかも既婚男性が読むべきというか、感じ入ると思う。作中の人物がほとんど男であるため、女の人には感情移入しがたいのでは、と思ったり。男でも独身では吉村貫一郎の想いがなかなか伝わらんような気がします。

いや、ほんと読んで良かったと思う。混沌とした今の時代、他人から何と言われようとも、自分の中で一本筋を通して生きていきたい、生きていかねば、と思わせる本でした。男としての生き方の見本・お手本を見た気がします。マネはできそうにないですが・・・

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年2月23日
読了日 : 2013年2月19日
本棚登録日 : 2013年2月23日

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