大好きな児童文学作家さん、柏葉幸子さんの作品。とても温かく良いお話だった。アニメ化されたようで、人気なのも納得。
夫からの暴力から逃げてきたゆりえと、両親を亡くした萌花は偶然にも同じ場所で3.11のあの震災にあってしまう。震災自体はとてつもなく辛く大変な出来事だけれど、このふたりにとって、このことがこの後の人生を大きく良い方向に変えていくきっかけとなる。ふたりは、避難所で偶然居合わせたおばあちゃんに、嫁の結、孫のひよりとして守られることになる。そして、このおばあちゃんが不思議なおばあちゃん。カッパと知り合いだったり、お地蔵さんにお願いを聞いてもらえたりするのです。
「遠野」という地名を聞いてなんか納得してしまうという、遠野という地名の持つ力の大さにも感心しつつ・・・
私はやたらと長い文章で読点がたくさんつき、やっと句点がきた~と思うような文章が苦手なので、子どもでも読みやすい短い文章が好きなのですが、その短い文章でテンポよく物語を進めながらも、伝えるべきことがしっかり伝わってくる柏葉幸子さんの文章力は、あらためて素晴らしいと思った。(←長い(笑))児童書ならでは(?)なのか、主語がいちいちしっかりしているような気がする(?)のですが、それを煩わしく思わないリズミカルな文章。
もちろん物語自体も素晴らしかったです。思わず涙ぐむ場面もあり、本当に心が温かくなった。人ならぬものの気配を感じ、それに思いをはせ、祈り、共に生きていくおばあちゃんの姿にも学ぶものがあると感じた。また、「家族」というものについても改めて考えさせられた。「血」のつながりより、「地」のつながりといった言葉を見たことを思い出した。狐崎という地で家族になった3人に胸がいっぱいになった。
- 感想投稿日 : 2022年4月20日
- 読了日 : 2022年2月6日
- 本棚登録日 : 2022年2月7日
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