抱擁、あるいはライスには塩を

著者 :
  • 集英社 (2010年11月5日発売)
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感想 : 369
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【動機】
江國香織で未読だったため。

【内容】
全23章、語り手も時系列もバラバラ。
「風変わり」な家族のお話。

【所見・まとめ】
さすが江國香織、瑞々しい情景描写と美麗で納得感のある言葉遣い。
p.160『彼女が私に秘密裡に事を運んだ。淋しさは、しかしわずかに遅れをとった。』
こんな言語感覚が欲しかった。

これは多分適応、自由そして愛の話。
そして家族それぞれ、変化をどう受け入れるか。

風変わりな風習、考え方、やり方を守り続ける家、外からいろいろな刺激を受け、それぞれ変化していく家人。
変化に適応できなかった、あるいは適応しなかった家人。
家を出た家人と家に残った家人。

何が違った?

第23章、もっともノスタルジックでもっともゾクッとしてしまった章。
広い家に残ったのは、菊子、百合、陸子。
熟年離婚を受け入れた菊子、不幸せな短い結婚生活を経験した百合、家、あるいは内を当たり前のものと受け入れる陸子。

『抱擁、あるいはライスには塩を』
それは『愛、あるいは自由』。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2020年1月13日
読了日 : 2020年1月13日
本棚登録日 : 2020年1月13日

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