花屋の店番 毎日晴天! 12 (キャラ文庫)

著者 :
  • 徳間書店 (2013年11月27日発売)
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感想 : 14
3

 待ちに待った「毎日晴天!」シリーズの続刊が出たぞー! と大喜びな彩波です。

 というか、前の巻が出てから十数年。
 待ってた自分にもびっくりしましたが、待ってられる腐女子であり続けた自分にもびっくりします。
 これで、少しは書けてなかったブログも更新できるかなあ……としたちょっとしたわくわく感もあります。

 まずは、物語は龍が家出して出て行ってしまった後の花屋を明信が一生懸命店番をする話。
 そりゃ、普段の龍ほどにはいかなくて、家族総出でみんなが心配がって花を買いに来る……。
 しかも龍の逃げた理由と言うのが、「志麻が富士の樹海にいる」という新刊本の帯を見たから、という理由だけ、というかなり情けない状況。
 けれど、志麻姉だよ、しょうがないよね、と帯刀家一同は龍を責めるに責められず。
 挙句の果てに、真弓まで「勇太がここで普通にしていられるのが理解できない!」とか言い出す始末。
 と言いながらも、真弓は一応、勇太を守るために策は練っているのだけれど、他の兄弟からは「それ、しゃべる暇があればいいね……」と言われてしまい、勇太までもが自身がとんでもない立場に置かれていることを理解する。
 誰も龍兄を責められないし、責めるつもりもないのだけれど、それでも置いていかれた明信が不憫で……というどうしようもないような状況。
 結局、言葉足らずで自分たちの気持ちを伝え合った明信と龍は、彼らなりのハッピーエンドだったのだけれどなんともはや、これはさっさと志麻が帰ってきて、発破をかけるとか、血祭りにあげるかをしないことには、ちっとも前に進まないだろうなあ……ということが容易に予測できる相当な泥沼感。
 どっちも言葉が足りなくて、どっちも相手に対して優しすぎてちっともきっちりまとまらずにどっちかがふーらふら、ふーらふら、してる感じがイライラするカップルではありますが、まあそれが彼らの形で彼らのペースなんだろうな、とは思います。

 で、二つ目の話が、真弓が行こうと思っていた本命の大学に落ちてしまって、改めて自分をどうして大学生になろうと思ったのか、思い悩む話。
 落ちて初めてそんなにそこの大学に行きたかったわけじゃないということを知り、更に言うならその大学に行って、何をしたかったのかがまったくわかっていなかった……という話でした。

 まあ、個人的に文系の大学を通っている、なんて素敵な期間がまったくなかったので、入った時点から高校生みたいにほぼカリキュラムが決まっていて、ちんたらちんたらしながら大学生活を送る、という状況だったからなー……。
 選考で悩むんですかね、そういうある程度の自由度のある学校を希望された人たちは……と、まったく想像のできない世界で頭を抱えてしまって、損な大学生活を送ったなあ……とわが身を呪いたくなりました。
 それにしても、真弓の回りは、自分なりに人生を考えて、結論を出した人が大半だったので、そんな中にいると思い切り劣等感刺激されちゃってもある程度は仕方がないことなのかな、と思います。

 そして、最後の話。
 お弁当を届けに来た秀が、大河のボヤキを聞いて、慣れないままにあっちこっちに出向いて、あれだけ大騒ぎをした真弓がなぜ落ち着いたのか、理由を探しに旅立つ話。
 秀は原稿から逃避するように、その答えを捜し求めるけれど、結局辿り付いたのは、自分の人生で今まで「一番考えてはいけない」と思っていたその考えで、秀は少し参ってしまう。
 けれど、その参ってしまった秀のことを、大河が優しくくるんであげてハッピーエンド。
 大人カップルはすれ違って大揉めになることって少なくなってしまいましたよね。残念。

 感想としては、そんな感じなのですが。
 最後に一つだけ。

 こんなに長い間忘れないでいてくれた作者さん、担当さん、本当にどうもありがとうございます。
 もう二度と読めないんじゃないかと半分以上諦めかけていたので、読めて嬉しいです。
 また「次」が、「毎日晴天!」のシリーズになるのか、それ以外のものになるのか、まったくわかりませんが、作者さんがあとがきに書いてくれた「また」を信じて次が出るのを待ち続けたいと思います。
 せめて次は、二桁になる前に…笑

 このシリーズを終わらせるなら、最後は「大河と秀」がいいって言ってくれた作者さんの言葉、今もまだ信じてしますよ! でも、今回何のかんの言いながら、秀の話が入ってしまって、これで終わってしまわれたら……というそれだけが心残りです。そうならないことを祈ってます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(BL)
感想投稿日 : 2013年12月17日
読了日 : 2013年12月16日
本棚登録日 : 2013年12月17日

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