聖域の限界(竹書房ラヴァーズ文庫) (ラヴァーズ文庫 74)

著者 :
  • 竹書房 (2009年7月25日発売)
3.38
  • (3)
  • (17)
  • (26)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 145
感想 : 10
2

 学生の時からまじめで優等生だった西澤誠司は、現在は名門女子高の教師として働いていた。ところが、西澤の勤める高校は、「名門」とは名ばかりであり、名前につられて入ってきた名家のお嬢様が多いものの、お金に飽かせて、ホストクラブに出入りをしたり、喫煙をしたり、内情は散々であった。
 ある日、西澤は同僚の教師からの密告を受けて、ホストクラブに出入りをしている生徒を捕まえに出向くが、そのホストクラブのオーナーは、西澤の高校時代の同級生・瀬尾竜哉であった。
 瀬尾は、当時から特別なオーラを放つ存在で、どこかテストでいい点数を取って、いい大学に入ることだけにやっきになっていた同級生とは、一線を画していた。
 誰もやりたくない「委員長」という役目を押し付けられていた西澤は、立場上、瀬尾に関わらないわけにもいかず、結局、瀬尾にからかわれ、いいようにおもちゃにされていた。
 そんな瀬尾だったが、西澤と再会した直後に、学校の体裁を理由に無茶な肉体関係を迫られてしまう。
 瀬尾が、どうして自分にそんなことを求めてくるのか理解できない西澤であったが、ついついそれに従ってしまう……。

 というあらすじです。
 西澤は、再会したところを無理やり襲われて、その後も肉体関係とお世話係を強要され続ける……という話でしたが、いろいろ無茶があるなー……と思うところもあったり、で少し興醒めしてしまいました。
 もちろん、いきなり襲った瀬尾は、案の定、西澤のことがずっと好きだったという定番の理由だったんですが。
「再会したら、どんな手段をとってでも襲おうと思っていた」って言っていて。
 なのに、再会したのが五年後で、五年も経っていたら、見た目とか中身とかかなり変わってる可能性もあるし。
 今回はたまたま、西澤が生徒を捕まえに来たから再会できてよかったものの、それがなければ、十年でも二十年でも待ち続けたんだろうか……?
 と「??」ってなりました。
 待てば待つほど、人の中身も見た目も変わっていくし、西澤だって結婚していたかもしれないのにな……と。
 もしかしたら「たまたま」じゃなくて、ずっと瀬尾は西澤の動向を追っていたのかもしれませんが、そういうネタばらしもないので、疑問だけが残ってしまいました。
 それともう一つ、想いが通じ合った最初のえっちで、おもちゃが出てくるのはどうなんだろう……と。
 通じない間に無理やりな形で、いろいろしているのだから、どうせだからその一回のうちに使ってくれたらよかったのに、そうなった直後の一回に使っちゃうから、「ええ!?」ってなってちょっと引いてしまったり……。
 基本的にそういうものが出てくるシチュエーションは嫌いじゃないんですが、やるタイミングを少し選んでほしかったです。

 そういうわけで、少し評価は低めです。
 話に入り込もうとすると、疑問点が湧き出てしまって、現実に引き戻されてという感じで、微妙な感じになってしまいました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(BL)
感想投稿日 : 2012年4月8日
読了日 : 2012年4月8日
本棚登録日 : 2012年4月8日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする