小説 あらしのよるに〔小学館文庫〕 (小学館文庫 き 10-1)

  • 小学館 (2008年12月5日発売)
4.03
  • (40)
  • (38)
  • (27)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 382
感想 : 46
5

絵本版を全て読み終わったあとで、「この小説だけに、本当のラストが書かれている」との著者のコメントを読んで気になって読んでみた小説版。
そもそもの絵本版の原作が「何故このような深い話を絵本で出版してしまったのか……?」と首を傾げるような子供向きとは思えない内容だったし、あとがきで著者が媒体に合った表現がある、と記している通り小説版は小説ならではの描写の豊かさで、絵本では省かれていた部分も丁寧に拾い上げている印象。スピンオフの絵本で語られた設定も本編中で反映されていて、個人的にはこの小説版が完全版だと思う。

賛否両論あったという絵本版のラストだけれど、私は7巻は蛇足に見えてしまってハッピーエンドとは受け取れないタイプの読者。だけど小説版で付け加えられたエピローグを見たらすとんと腑に落ちてしまった。ふたりがようやく再会して、これから幸せな時間が始まるよとはとても思えなかったので、悲しい結末ではあるけれど私は少し安心してしまった。短いエピローグだけどあの場面が語られる媒体があってよかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 一般_文芸
感想投稿日 : 2019年7月1日
読了日 : 2019年6月30日
本棚登録日 : 2019年7月1日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする