残念ながら未完だが、ビアズレー唯一の小説。タンホイザーとウェヌスの物語だが、ワーグナーの『タンホイザー』に置き換えると、全3幕の内せいぜいが第1幕までといったところ。ビアズレーの文体は、細密画をどこまでも拡張していったかのよう。彼の絵はモノクロだが、小説の文章では色鮮やかな色彩の乱舞といった観を呈している。澁澤訳ということもあり、サド(ただしグッと穏やかで繊細な)を思わせなくもない。また、巻末にはビアズレーの画集も併録されており、造本の紙質も高級紙を使用しているなど出版社側の気配りもなされている。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
☆イギリス文学
- 感想投稿日 : 2013年9月26日
- 読了日 : 2013年7月3日
- 本棚登録日 : 2013年9月26日
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