20年ぶり位に宮本輝の作品を読んだ。
若いころはのめり込むように読んだのに、ずいぶん長いこと遠ざかってしまっていた。どんどん長編化している彼の作品に嫌気がさしてしまったのか、記憶も定かでない。
久しぶりの読んだ彼の作品は思いもかけず素晴らしい作品で、上下巻の長さを全く感じさせる事もなく一気に読んだ。うつくしい日本語で表現される富山の自然、京都の花街、魅力的な人々。全てが調和して物語が生き生きと動いていく。
15年前、絵本作家賀川真帆の父親が富山で亡くなった。九州に出張中だった父はなぜ富山を訪れたのか。真帆から不思議な縁で人々は繋がっていき、最後はある少年にたどりつく。
交差しそうで交差しない真帆と少年のラストシーンはこれ以上ないというほど良い場面だった。思わず涙腺も緩み、あったかい気持ちで満たされて幸せな気持ちになった。
最近撮られたであろう宮本氏のお姿を拝見するとずいぶんと歳をとった。私の印象は“ダバダ~”で止まっていたから(笑)
しかし大御所となった今も、紡ぎ出す作品はまったく古臭いことなどなく新しい感動を私にもたらせてくれた。
富山に行きたい!雄大な立山連峰、うつくしい田園風景を見たい!
もっともっと宮本輝の作品を読みたい!
今はそんな気分です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
宮本輝
- 感想投稿日 : 2015年10月5日
- 読了日 : 2015年10月3日
- 本棚登録日 : 2015年10月3日
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