表紙で思わず観鑑した。パリ大好きな人なら見ごたえがある。街並みと、タイムトラベル先に現れるパリにちなんだヘミングウェイやダリなど高名な文化人の面々は興味深い。元ネタを知ってたらより楽しめるのかもしれない。無教養な私には到底全部はわからなかったので、これを機に少し調べてみるのも面白いかもしれない。
登場人物たちの掛け合いは気軽に見ることができて楽しい。コメディタッチだったおかげだろう。主人公のギルはヘタレだ。好感が持てるし見ていて楽しい主人公だった。あとトムヒが出てた。相変わらず頭くりんくりんだった。パリの街並みと音楽は心地よい。パリに憧れる人が見たら嬉しいものかもしれない。
印象的だったのはギルが「どの時代の人も黄金期に戻ろうとしているだけだ。結局居ついたら不満が出てくる、例えば歯医者に麻酔がないとか、抗生物質がないとか……」と言った場面。確かに憧れている時代があったとしても、そこで生きていけるとは限らない。私だってよくゲームの世界には憧れる。だけど速攻死んでモブにすらなれない立ち役になることなんて分かり切ってる。残ったアドリアナが正しくないというわけではない。誰だってないものねだりだ。今の現状に満足してこそ得られるものがあるのも確かだ。どちらを選ぶかでしかない。
結局なぜか婚約者とは別れることになる。その理由がよくわからなかった。相性が悪かったんだよ、と主人公のギルはずっと訴えていたけれど、ただパリに住みたかっただけな気もしなくもない。現実とタイムトラベルした時代の往復の中で考えたのかもしれないが、そこまでする必要があるのか不明だ。タイムトラベルした先に現れたアドリアナに心奪われ、気持ちが離れてしまったのが原因ではあるだろうが。過去の時代に置き去りにしたアドリアナのことを思い傷心だったようだが、それになんだかんだ新しい彼女こさえている。(というよりもまだ親しげに話す程度だったが、気があるような演出の仕方だった)二人同時に愛することはできるのか~とか言っていたけれど、ただ端に浮気しただけじゃね?とも思った。
主人公のギルは、今の幸せである婚約者とも別れた。その途端パリで早速いい感じの女性と出会った。手放した途端得られるものもある。それはアドリアナもギルも同じかもしれない。
- 感想投稿日 : 2017年11月30日
- 読了日 : 2017年11月30日
- 本棚登録日 : 2017年11月30日
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