あなたの人生、片づけます (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社 (2016年11月10日発売)
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2023.9.27 読了 ☆8.2/10.0


社内不倫に疲れた30代OL、妻に先立たれた老人、子供に見捨てられた資産家老女、一部屋だけ片づいた部屋がある主婦……

片付け屋である主人公・大庭十萬里が、人生に大小それぞれの様々な悩み、葛藤、不安、苦しみを抱えた人たちと部屋の片付けを通してそれらに向き合うきっかけを与えて、彼ら彼女らの「人生の片づけ」「心の整理整頓」をしていく物語。

そう、十萬里さんが片付けるのは、家や部屋ばかりではない。その状態を作り出した人の心を片づける。
どうしてそうなってしまったのかを丁寧に突き詰め、その状況を当人に理解させ、どうすればその状態から抜け出せるかを考えるように、巧みに誘導するのだ。
そして彼らは気づく。これは、自分が招いたことなのだ、と。

自分の弱さの表れ ー NOと言えない自分だったり、身の回りのことを人任せにしてきたツケが回ってきたり、老後も一人で生きていく覚悟がなかったり、喪ってしまった息子への執着だったり ー が、この状態を作り出してしまったのだ、と。


私たちは、鏡を通してでしか自分の顔を見ることができない。それと同じように、自分の弱さは、自分には見えない。もし見えていたとしても、それを直視できない。直視できるほど、強くない。でも、だから十萬里さんに指摘して欲しい。背中を押して欲しくなる。



〜〜〜〜〜〜〜〜心に響いた言葉〜〜〜〜〜〜〜〜


"最もまずいのは、見るたびに、『あぁ、無駄遣いしてしまった』と後悔して落ち込むことです。見ると辛くなるものは、処分した方が精神的にも良いんです"


"最近は、面と向かって言ってくれる人がいなくなりました。いつの間にか、みんな相手の機嫌を損ねないことしか言わなくなった。誰だって悪者にはなりたくないですからね。でも、恨まれても良いから本当のことを言ってあげるのが本当の親切ではないでしょうか"


"老後の安心のために残すべきは、物ではなくお金ではないですか?例えば、気に入らない洋服を残しておくより、洋服を買う楽しさを残しておいた方がいいとは思いませんか"


"人はみんな裸で生まれて裸で死んでゆく。人生の店じまいとはこういうことなんだと。あの世には何ひとつ持っていけない

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年9月27日
読了日 : 2023年9月27日
本棚登録日 : 2023年9月27日

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