学生時代に読んだ本書を、著者の講演へ向けて再読。人が死ぬことができない世界を、またそのような世界で固有の死を取り戻すことの危うさを、これほど早くから見通していたことにあらためて驚かされる。脳死問題などについても先見の明がある。死ぬことのできない世界に踏み止まり、自己完結することのない生を生きる地上の思考と分有の思考を、ハイデガー、ブランショ、レヴィナスらを論じつつ、自在に展開する本書の議論は、『戦争論』や『理性の探求』などに示される著者の思考の基本的なスタンスを示すもの。その議論を総括する論考を加えた増補新版。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
哲学
- 感想投稿日 : 2010年12月30日
- 読了日 : 2010年12月30日
- 本棚登録日 : 2010年12月30日
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