盤上の敵 (講談社ノベルス キH- 1)

著者 :
  • 講談社 (2001年10月1日発売)
3.20
  • (2)
  • (14)
  • (33)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 104
感想 : 13
3

あるサイトで「再読をためらってしまう本」を募っていて、そこに「盤上の敵」が挙げられていました。そんな好奇心から手に取ったのですが、この作品が不向きな人もいるとの作者直々の前書きが。そんなにすごいのかとさらに期待が高まりました。

テレビ・ディレクター末永の自宅に殺人犯が籠城、彼の妻を人質にします。マスコミ関係者という特権を持つ末永は犯人と取引して、自ら妻を救おうとするのですが。

末永の妻というのは複雑な過去を持ち、彼女が末永に過去話したことが独白のような形式で事件の展開の間に挟まれています。
友貴子の話がなんともいえなく重くて、人を不安にさせます。続きを知るのがためらわれるけど、その先を知りたいと思わせるものがありました。
そういえば、「グロテスク」や「ユリゴゴロ」を読んだ時も同じような感覚を覚えました。なんかざわざわするのです。

終盤、末永の作戦は成功したかと思ったら予想外の展開になっていておもしろかったのですが。最終章第5部の友貴子の夢物語でわからなくなってしまいました。この夫婦の今後をどう受け止めればいいのか。この事件をきっかけに過去がすべて生産され新たな友貴子として生まれ変わるというのが、彼女の夢の暗示なのかなとも思いました。

読書前の期待感が強すぎたせいか、じゅうぶん面白かったものの多少の残念感が残りました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年10月15日
読了日 : 2017年10月11日
本棚登録日 : 2017年10月3日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする