会社に使われる人 会社を使う人 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA (2019年2月9日発売)
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「定年後」参照。

以下、引用

●ここで大事な人生戦略になるのが、”もう一人の自分”をつくっておくということだ。主体的な生き方は、その”もう一人の自分”に任せればよい。そうすれば、定年後の人生を積極的にチョイスすることにつながっていく。
●なぜなら日本の会社の給料は、能力や成果に対してではなく、共同体の一員である「人」に対して支払われる面があるからである。また、「能力がない」といって無慈悲に社員を解雇することもない。非正規雇用者が不利益を被る状況が生まれているのは―もちろん、それでよいとは思わないが―多くの日本の会社が正社員を、”共同体の内側にいる仲間”と見なしている裏返しといってよい。
●私自信の体験と実感も交えていえば、会社という共有の場でサラリーマンが仕事を円滑に進めるための態度要件は、「お任せする」と「空気を読む」の二つに集約される。「お任せする」というのは、自分の主義主張をあえて前面に押し出さないことだ。上司などに物事の決定を委ね、自分の主義主張にあえてこだわらない。これは会議などの場だけでなく、たとえば些細なことだが、職場の人同士で食事をするような場面でも同様である。「おれは魚が食べたいから寿司屋に行こう」といってもよいのは、全員の勘定を自分が自腹で支払うときだけだ。個別会計だったり、部内の経費で落としたりするときは、味や値段よりも「みなが納得できる」ことが優先されなければならない。空気が読めない人たちを”KY"と呼び始めたのは、かつての女子高生たちだった。これはとりもなおさず空気を読むという能力が、日本では学校生活のうちから集団を維持するうえで求めれていることを物語っている。とくに相手が自分に対して大きな影響力を有しているときこそ、その相手の意図や意向を読み取ろうとする姿勢は強くなる。その基本スタイルは”受け身”である。そして、この共有の場の均衡状態を確保するために、入社年次や役職の上下といった序列が効力を発揮する。それが日本の組織で年功が重視される根拠の一つになっているのだ。同時に、年功序列の慣習は個々の社員の自由と主体性を封じ込める。言い換えれば、社員同士が黙示的に、会社の中で「個」が自立しないように歯止めをかけているのである。日本型雇用システムは、自立した個人ではなく、共同体の一員として各々の役割を担うことを求める。したがって、社員は共同体のなかに自分の居場所がなくなってしまうことを恐れる。
●現役サラリーマンの読者の皆さんも、胸に手を当てて考えてみてほしい。会社の仕事にやりがいや生きがいを感じられるか?自分に対する会社の評価に満足しているか?ひょっとして、会社に行くことがストレスになっていないか?自分の行動に喜びや満足感が得られるのは、主体性をもって動いている部分があるからだ。会社に使われるだけの人は「やらされている」という意識だけが充満し、ストレスも大きくなる。そういうサラリーマンが定年後に雇用延長しても、不本意な状態が継続するだけではないか。
●サラリーマンという立場の限界
第一条 努力したぶん自分に返ってこない(略)
第二条 自己実現はめざせない(略)
第三条 取り換え可能な仕事である(略)
第四条 根回し、調整が必要(略)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2021年に読んだ本
感想投稿日 : 2022年3月6日
読了日 : 2021年7月21日
本棚登録日 : 2022年3月6日

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