「スイス諜報網」の日米終戦工作: ポツダム宣言はなぜ受けいれられたか (新潮選書)

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  • 新潮社 (2015年6月25日発売)
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以前、「昭和史を動かしたアメリカ情報機関」を読んだ時、アメリカの終戦工作は成功したと書かれていたことに違和感を持った。それは本書冒頭に書かれている「藤村工作」を、自分も知ってい(信じてい)て、スイスでの終戦工作が成功したとは思えなかったからである。ところが本書では、まず一般に膾炙しているこの「藤村ストーリー」がフィクションであることを喝破する(→吉田満「戦艦大和ノ最後」に通じる)。そしてスイスでは「藤村工作」とは別に、というよりは複数ルートで日米終戦工作が進められていたこと、そして最終的には「藤村工作」を含めて外務省・陸軍省ルートに一本化されたことを明らかにする。そして、そのルートを通じて得られた情報は、外務省を通じて天皇にも流されたという。そして、これが「朕には確信がある」というあの言葉につながったというのだ。こうしてみれば、たしかにアメリカの終戦工作は成功したと言っていいように思われる。

「昭和史を動かしたアメリカ情報機関」「アレン・ダレス 原爆・天皇制・終戦をめぐる暗闘」参照

以下、引用省略。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2015年に読んだ本
感想投稿日 : 2015年10月7日
読了日 : 2015年8月27日
本棚登録日 : 2015年10月7日

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