あふれた愛 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2005年5月20日発売)
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本棚登録 : 1168
感想 : 131
5

読了!★★★★★ 天童荒太の短編集。
どうしよう…こんなに面白いと思えた短編集は初めてだ・・・
「家族狩り」のレビューで、“受け入れてもらった” ”許してもらった”気がしたと書いたが、それの理由がわかった。というかこの本にまさに書いてあった。自分が自然にそう思わされていたことがすごいと思った。
この人は、人間を観る時に本質をきちんと見ているんだと、その上で表面や仕草を細かく観察し、精密に、丁寧に書いているんだと感じた。そしてそれは全ての作品を通して一貫していて、ブレていない。(天童作品を好きな人の多くが経験したことがあるんじゃないかと思う→)弱さ故に出てしまった過ちとか、後悔してしまう様な苦い行為をリアリティ豊かに書いていて、よくもこんなにも登場人物の気持ちになって書くことができるものだと尊敬する。自分が考えた話だからといって、できるものではない。
天童作品の執筆途中に新たに浮かんだ、本編とは違うテーマや素材を表現した短編集だそうだ。なるほど。各章がどの作品とつながっているかが、読みながらも朧げに浮かんでくる。ひとつわからなかったのはまだ未読の作品なのかな?

あふれる程の愛を抱えてしまったら、どうしたらいいのだろう?
その愛をどうしたらいいかわからずに、振り回されたり、相手が受け取れなくても押し付けてしまったり、投げ出したり、押しつぶされそうになったり・・・
その時となりのあなたはどうする?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年1月31日
読了日 : 2012年1月31日
本棚登録日 : 2012年1月31日

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