今やる人になる40の習慣

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  • 宝島社 (2013年4月15日発売)
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「『いつやるか?今でしょ!』を噛みしめるために」

著者がTV業界でブレイクするきっかけとなったこのキャッチーな名台詞は老若男女,学生社会人問わず,多くの人に引用,アレンジされ,お茶の間から校長先生の挨拶,飲み会の席まで,多様な場所で使用されたことだろう.
前著『いつやるか,今でしょ!』を読了する前の自分にとって,林修という人間は,あまり評価の高い人ではなかった.東大出て塾講師やってる,何やりたいのかわからない先輩.
前著で,その評価は一転している.
林修先生という人間は,ものの道理をわきまえ,物事の本質をよく見抜いている人.
本著はそれを確実なものにしている.

林先生の言葉には,なるほど,と思わされるものが多い.
「努力はベクトル量である」
つまり,取るべき方向を間違えると,いくら絶対値が大きくても,ゼロになったり,はたまたマイナスになりうる.努力を効率的に活かすためには,その方向をぴったり一致させることが肝要である.
「ホウレンとソウは全く別物である」
報告と連絡は絶えず,行うこと.相談は全く異質なもので,問題に打ち当たらなければ,行う必要もない.しかし,綿密な報告と連絡は欠かさないことが肝要.速さをアピールすることは自分の情熱をアピールすることに他ならない.千田先生も言う通り,仕事への情熱はスピードでのみ表すことができる.

林修先生の書く文章は,味わいがあると,自分は感じる.ビジネス書というのは,基本的には成功者が上から説法という感覚で,理路整然と飾り気なしに書くのが一般的かと思う.林先生はデスマス調を用いながら,主張を理路整然と述べ,言い切りをもって権威を押し付けなくとも説得力に満ち溢れた語り口である.
これは,先生の書いている内容が核心をつく,深い洞察に基づいていることが何よりの要因であろう.味気ない文章ではなく文章の整然さを害さない,過不足ない修飾で文章を味つけている.
また,林先生の書く文章のみでなく,引用も素晴らしい.
「陰徳あれば陽報あり」「平常心を失うと『運』を持っていかれる」 "Not a failure, but a low aim, is a crime."など,先生の引用は多岐に渡り,温故知新というか,先人の教えをよく取り入れ,よく咀嚼し,自分のものと化している様子がその語り口から伝わってくる.でなければ,この文章は書けない.

今,すぐやる人とは,人生を制する人である.
今,行動できるのは,生きることに対して,情熱,尊敬の念を常々抱き,自分の人生を大切にしているということ.
すぐ始められる人は溢れる行動力を駆使することができ,自身を制御できている人間である.
そんな人こそが今を,果ては今の連続である自分の未来を決定づけて,正しき方向に歩んでいけるのだろうと感じられる.
思えば,『いつやるか?今でしょ!』は,そんな自分を厳しく律している人こそが発する極めて能動的な言葉,というのが本質であり,「芸能界デビューのネタとして食い物にした一言」と勘違いしていた自分があまりにも浅はかで恥ずかしい.
林修先生という人間を「本著」を通して一部を垣間見ただけでも,わかるほどだ.

教訓として自分も大事にさせていただきたいのが,最後の章で述べられる「人生のアイウエオ」.
「人を愛して,運を逃さず,縁を尊び,恩を忘れず」
手始めに,この本との巡りあいを尊び,林修先生が教えてくれた素晴らしい考えへの恩を忘れずに生きていくこととする.

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 意識改革
感想投稿日 : 2018年2月9日
読了日 : 2018年2月9日
本棚登録日 : 2018年2月9日

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