ビジネスモデル分析術 数字とストーリーでわかるあの会社のビジョンと戦略

  • CCCメディアハウス (2013年4月11日発売)
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感想 : 20
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語り口が謙虚で、こちらの姿勢も正される。財務諸表の見方が示されるが、そこから実際のニュースなどで扱われる企業の状況などに見方を敷衍していて面白かった。

・情報主体のウェブは「集合知(群衆の英知)」という考え方に基づいています。これは依然として重要な考え方ですが、今後、さらに重要になるのは、「友人知(wisdom of friends)」です。
例えば、私が東京に行くときに欲しいのは東京に住んでいる友人からのお薦め情報です。米国では平均して月に6.5時間をフェイスブック、2.1時間ほどをヤフーに費やしています。人々が情報を取得するためにどこに費やしているのか。もう既に変化が起きているのです。今はまだ完全にソーシャルの世界に注がれているわけではありませんが、これは時間の問題。必ず変化していきます。
なぜか。理由は簡単です。人は元来、自然に状況を受け入れながら暮らしているからです。街角やオフィスで友達を見かけたら、何か特別な質問を投げかけるのではなく「元気?」と聞くでしょう。これと同じことで、人が何か特定の事を探し出そうとする時間は生活のほんの一部です。実際は周囲の人々と自然にコミュニケーションする事に、ほとんどの時間を費やしています。
フェイスブックの利用は、現実の世界で周囲と反応し合うことと同じです。意識的にやる行為ではないのです。
―フェイスブック、シェリル・サンドバーグCOO

・アップルの製品は、iPhoneとそのアクセサリー、サービスで売上高6兆2450億円(51.4%)、iPadが2兆5161億円(20.7%)、Mac1兆8019億円(14.8%)、iPod4357億円(3.6%)。売上高の国別では、アメリカが断トツの36.7%、ヨーロッパ23.2%、日本6.8%、アジア21.3%、アップルストア12.0%。
→著書内ではソニーと比較されているが、アップルは「iPhone」「iPad」「iPod」「Mac」のみしか製品が無い。極限まで絞り込まれているこの構成をどう評価するか。

・iPadを買っても、液晶パネルがIGZOとは限らない。新型iPadには、シャープ製のIGZOと韓国サムスン電子などが作るアモルファス液晶という2種類のパネルが混在しているからだ。それが消費者に分からないよう、アップルは性能で勝るIGZOの解像度をわざと落としている。
なぜそんな面倒なことをするのか。それはいみじくも奥田が言ったように、IGZOがシャープにしか作れない「オンリーワン」の液晶だからだ。
→4Kもそうだが、更に美しい画像のTVに、どれだけのニーズがあるのか。それなら、目に優しいノートPCなどの方が、消費者に求められているのではないか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経済 ☆4,5
感想投稿日 : 2013年6月14日
読了日 : 2013年6月14日
本棚登録日 : 2013年4月24日

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