松浦さんの小説にはどこかうらぶれた男が出てくることが多い(気がする)
例えば堀江敏幸さんの小説なら、登場人物を堀江さん自身とすげかえて想像してもそれで違和感がなかったりするけれど、松浦さんのはそうするとだいぶ違和感が出る(学者っぽい小説家としてお二人を比べてみました) そもそもそういう読み方自体が変なのかもしれないけれど、前に読んだ松浦さんのものもそんな感じだった気がするので、なんなんだろう、と思う。
で、ちょっと思うことがある。これは「わざと」やっているんではないかと。いやいや小説家なので「わざと」やるには決まっているのだけれど。それでもあえて姿を変えて、流れる時間の中に身を置いてみる、ということをやってる感じがするのである。
ここに出てくる男は死にかかっている人ばかりである。冥界に足片方(あくまで片方)を突っ込んでみせることで日常に見えてくるものを探る、という所作のように思われるのだが、どうだろうか。
最近、文学を読んでいて「幽霊」というワードが気になっている。これもある意味「幽霊」を扱っているような気がするけれど。
それにしても『あやめ 鰈 ひかがみ』というタイトルの妖しさといったらない。三篇の絡み合いも後で振り返ると面白い。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説・現代文芸(男性)
- 感想投稿日 : 2012年10月16日
- 読了日 : 2012年10月16日
- 本棚登録日 : 2012年10月16日
みんなの感想をみる