たしなみについて (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社 (2017年1月6日発売)
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感想 : 12

頭は使わなければさびつきます。人間も磨かなければ曇ります。若い頃美男だった人が三十になるとふつうの男になり、四十すぎると見られなくなるのは、みんな自分のせいです。時間のせいではありません。本来ならば、人間は老人になればなる程美しくなっていい筈です。

もし、ほんとうに真から底から幸福をお望みなら、必ずそれはあなたのものになるでしょう。しかし、同時に、不幸をもしょいこむだけの覚悟がなければ、そんな望みは捨てておしまいになるがよろしい。

若い者に余裕がないのはあたりまえです。むしろそれ故に美しいのです。それこそまことに「若さ」であり、それでこそ洋々たる未来が約束されていると言う事も出来ましょう。反対に、若いくせに老熟を真似て、さも余裕ありげな態度をしてみせる事もつつしまなくては、と思います。

死ぬ事もむずかしい、が生きることはなおむずかしいのです。

人間の命は短い。五十年としても二万日に足りません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年2月14日
読了日 : 2021年2月16日
本棚登録日 : 2021年1月28日

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