ミナトホテルの裏庭には (ポプラ文庫 て 3-2)

著者 :
  • ポプラ社 (2018年2月2日発売)
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大切な人には、頼ってほしいものなんです。我が儘を、言ってほしいんです。大切な人からあなたには関係ないって言われるのが、いちばん堪えるんです。誰にも頼らずやっていけることは、たぶんそんなに立派なことではないのだ。だって誰かに頼られると嬉しい。誰にも頼られることなく生きていくのは、虚しい。誰にも頼られぬ者に、自分もまた、誰かに頼ることができない。

働くのは、食うためだ。食うのは、生きるためだ。生きるための仕事で、死ぬな。祖父は、そんなふうに言った。だから死ぬほどつらかったら、その時は逃げろ、と。

他人に心を開かないものは、他人から心を開いてもらえないのよ、陽ちゃん。その状態では、他人の不幸に引きずられる。あなたには、他人を救うとか、助ける、とかいうことの意味が、たぶんわかっていない。陽子さん、あなたは優しい人だと思う。誰かを助けたいらという気持ちはたしかに尊い。でも鏡を見てみたらいい。自分自身を蔑ろにしている人が、誰かを大切にできるわけがない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年5月10日
読了日 : 2019年11月2日
本棚登録日 : 2020年5月3日

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