衣裳戸棚の女 (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (1996年12月21日発売)
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本棚登録 : 215
感想 : 25
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ピーター・アントニイ『衣裳戸棚の女』読了。

密室の傑作として名高い作品だが、その本質はプロットが完全に閉じられ、無駄がないことに依る。物語としての面白さと落とし所に「密室」が不可欠であり、それが密室モノとされる所以といっていい。
同じく、これは「ユーモア」のミステリであり、この要素もまた不可欠。邪悪さが払拭された世界、それを構築するにはユーモアがなくてはならない。
この「密室」と「ユーモア」がストーリーラインを支える二本柱であり、そこに不可能状況や幾つもの仮説のスクラップアンドビルドが加わることで、魅力的な謎とその解明の物語が成立している。最高のオチに導くプロットのための作家視点での必然性と、作中の因果がメタ的に転倒するところがすごく楽しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ・推理
感想投稿日 : 2019年5月11日
読了日 : 2019年5月11日
本棚登録日 : 2019年3月31日

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