ロマン主義の真髄がここにある、という作品です。作者が夭逝したため未完の長編ですが、後に続くエピソードによるロマン的ポエジーの成就という展開もそれはすばらしかったのだろうけれど……やっぱり夢に見た青い花の美しさは言いようがない。それこそがロマン的なもの、追い求めずにはいられない山頂の花だと思う。その美しさと可憐さは、ポエジーによってしか手に入れられないものなのだと思う。原題は主人公の名前である『ハインリヒ・フォン・オフターディンゲン』なのですが、「青い花」という邦題が定着しているのは、やはりこの花こそがロマン的ポエジーの昇華された姿だからなのだと思います。このタイトルをつけた語ってどなたなんだろう。見ると一番古い訳は小牧健夫大先生みたいですが。さすがだなあ。原題が「青い花」じゃないなんてだれも思わない……。長いこと「言葉」というものに不信感を抱いてきたのだけれど、改めて精読したら言葉というよりも詩人の言葉の崇高さを思い知った。文句なしに美しいと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ロマン
- 感想投稿日 : 2008年1月27日
- 読了日 : 2008年1月27日
- 本棚登録日 : 2008年1月27日
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