ちょっと作者間違いで、図書館に予約を入れてしまったが、河合先生の著作なので、まぁ、間違いないだろうと読んでみた。面白かった。
古今東西の「猫」にまつわる物語を読み解き、心理学者ならではの解説、感想が展開される。
「話がたましいの領域にまで拡大されるとき、人間のドラマにはしばしば動物が登場するものだ。」
本書で取り上げられるのは、昔話のたぐいから、童話、絵本、ファンタジー小説、そして漫画と幅広い。 “たましいの領域”を語るのは、ノンフィクションや理路整然としたお話ではない。摩訶不思議な物語がおのずと多くなる。そして、そこでの登場するのは猫たちだ。
「エジプトにおいて、ネコの女神セクメトがあまりにも崇拝されたので、このような異教徒の宗教に対する反撥として、キリスト教は猫を無視、または敵視しようとした」(『猫の不思議な物語』(フレッド・ゲティングス著 松田幸雄・鶴田文訳 青土社)
西洋において猫は、神と対立する存在として印象操作されてきたか?
いや、そうでなくても、猫の行動、生態を見て、古来、人は、洋の東西を問わず、そこに解せないなにかを感じ取っていたのだろう。数多の不思議な物語に猫の存在は不可欠だということが、多くの著作を引いて語られる。
「なぜなしに存在し、なぜなしに納得させられる」
著者は、それがファンタジーの本質ではないだろうか、と書く。
いや、それは、猫そのもののことを表してはいないかな。
本書で紹介され、解説された猫の登場する物語、読んでみよう。
- 感想投稿日 : 2020年12月10日
- 読了日 : 2020年12月9日
- 本棚登録日 : 2020年11月30日
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