本書のポイントは次の二つ.
ワークショップやファシリテーションをゲームという視点からとらえていること (第1~3章). もう一つは, よく知られたものもあまり知られていないものも含めて, ワークショップやファシリテーションのやり方の広範なカタログ (87種類) になっていること (第4章).
ただしカタログはそれぞれについて1~4ページ割かれているいるだけなので, ゲームの「本当のルール」を知って, 実際にゲームをするには足りない部分も多いだろう.
もう少し「ゲーム」の意味を掘り下げて欲しかったし, 個々のやり方に帰着させてしまうよりもより一般的な「ゲーム」について知りたかったという意味では, 謳い文句ほどには自分の期待を満たさなかったが, ワークショップやファシリテーションの必要性を感じている人にとっての入口としては悪くないと思う.
基本的には知識労働をある種の (ゴールもルールも固定されていない創発的/即興的な) ゲームと考える, いわゆる「アジャイル」な手法 (特にA.コバーンなどの) と通底するものだ.
もっともワークショップやファシリテーションをゲームとしてとらえてしまうこと自体についてはいい点も悪い点もあるはずだが, 悪い点についてはあまり書かれていない.
本書内でも取り上げられているが, 「問題解決のための高速思考ツール」は, もっと具体的なカード・ゲームを問題解決という視点から紹介しており, 次にはこちらを読むのもよいかもしれない.
(「パタン」と「ゲーム」という二つの考え方には共通点がありますね. その宣伝的な使われ方にもね)
- 感想投稿日 : 2011年8月23日
- 読了日 : 2011年8月23日
- 本棚登録日 : 2011年8月22日
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