自殺直前日記

著者 :
  • 太田出版 (1996年6月1日発売)
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本棚登録 : 111
感想 : 14
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■序文と跋文にあるご尊父の手記は非常に感動的。故人にとって自分は偽善者だったとの告解には強く胸を打たれた。
■本文は、山田花子の日記を編集して載せただけのもの。自己嫌悪と他者攻撃をくりかえす彼女の感情のメーターの針は、つねに極大から極小へ振り切れている。
■しかし、本書に載せられた彼女の作品の一部(図版)があまりにも少ないのは残念。ご尊父は「(むすめは)何故か多くの人々に強烈な印象を与えた」と書いているが、そんなの全然不思議ではないのだ。前回ぼくの紹介した『彼女図鑑』で紹介される99人の、非常にうまくて何の個性もないイラストと見比べたらいい。山田花子の画は返しのついた棘のように、見巧者の心臓に突き刺さる。彼女の残した作品をせめて数編でも載せていてくれたら、なぜ山田花子がいまだに「強烈な印象を与え」続けているのか一目瞭然だったのに。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教養・歴史・ノンフィクション
感想投稿日 : 2019年12月31日
読了日 : 2019年12月31日
本棚登録日 : 2019年12月31日

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