神曲

  • アルケミア
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感想 : 15
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■死後の世界など存在しない。天国も地獄も。
悪人は罰されない。善人は報われない。
最愛のひとは死んでもういない。偉大な詩人はとっくにいない。神などそもそも最初からいない。
■ないないづくしの現実の中、よくまぁこれだけの大ウソを並べられたものだ、この作者は。元ネタはあるもののそこに自分の価値観、個人的な知り合い、時事ネタなどを盛り込み、こね合わせてはより分けて、煮詰めてはまた膨らませて、壮大な夢想をこれでもかと築き上げた。
■それにしても圧倒されるのが、総数百何十点にもおよぶドレの挿し絵(木版画)だ。次のページをめくろうにもしばらくは手が止まって絵から目がもぎ離せない。これほどの仕事にかけた技量と労力と執念とはちょっと想像がつかない。まさに鬼気迫る驚愕の作品群だ。
■ダンテはヴィルギリウスに導かれて地獄→煉獄→天国を辿る。ぼくは読書でもって彼らの道行きに随行する。そんなことしてたらなんだか死後の世界がほんとにあるんじゃないかと思えてきた。で、それがあるとしたら……ぼくが死んだら確実に地獄行きだろうな……。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 外国文学
感想投稿日 : 2021年4月30日
読了日 : 2021年4月28日
本棚登録日 : 2021年4月28日

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