百頭女 (河出文庫 エ 1-1)

  • 河出書房新社 (1996年3月4日発売)
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本棚登録 : 558
感想 : 61
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再読。この本でデペイズマンという概念を学んだっけ。技法としてはコラージュの一種なのだけれど、そこに新しい概念を持ち込むあたりがシュールレアリスム。

デザインの学校に行ってた頃に現代美術の授業があり、「オブジェを作るので、柔らかい物と固い物を持ってきてください」と言われたことがありました。例えば台所スポンジ(柔らかい物)に釘(固い物)を刺す。どちらも本来の用途ではない使い方をされることで、意味を剥ぎ取られ単なる物体と化す、それが「オブジェ」だと。なんかこの本読むといつもその授業を思い出します。

まあ小難しい屁理屈を抜きにして眺めているだけでも楽しい。間違いさがしのようでもあるし、シュールなギャグみたいなのもあるけど(笑)、もともとの物語を離れ意味を剥ぎ取られて貼り合わされたイラストから新しい物語が構築されてゆくのはちょっとしたマジックのようで不思議な面白さがある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  ★ドイツ・中欧 他
感想投稿日 : 2015年10月20日
読了日 : -
本棚登録日 : 2012年8月13日

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