これはわかりやすい。内容も、構成も、説明も。数字数学は私の苦手とするところなのに楽しく読み終えた。
数字の裏付けなしに印象だけで語ることの危うさも、豊富な事例でなるほど納得。
例えば、副題にもなっている「小泉政権のせいで格差が広がった」という説。
著者の見解では、正しくない。格差の定義をジニ係数などに求めていろいろな社会統計を検証してみると、確かに格差が広がる現象は見られるものの、その傾向は小泉政権の期間よりずっと前から始まっているから。小泉政権の間に加速した様子もない。なぜなら、主な原因は人口構成の変化に求められるから、という。
ここまではいい。
だけど、もの足りなさも感じてしまうのだ。
ないのもねだり1としては「なぜ間違うのか」の考察と対策案の提示が欲しい。「元データにあたろう」は「正しい」かもしれないけれど、実行するのが大変な対策だから効果がない。なぜ間違うのかを理解していなければ、私はこの先もずっと間違い続けてしまう。
ないものねだり2として、本書の内容(統計を使ってモノゴトを理解する方法)をどう伝えたらいいのか教えて欲しい。本書は自習書入門書として素晴らしいと思う。だけど、さらに、それをまわりにわかりやすく伝えられたらもっといいのに。
「小泉政権は格差拡大の原因じゃないよ」っていきなり言ったらトモダチなくしそう。
いずれも「ないものねだり」と書いたように、本書の中に書いておいて欲しかったというより、著者の神永さんに次はこういうことについて書いて欲しい、という要望。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年12月6日
- 読了日 : 2013年12月6日
- 本棚登録日 : 2013年12月6日
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