本当に、亀和田武の文は読みやすかった。目黒考二と同じにおいがするからだけでなく、語るような、思い出すような優しいリズム。浮かび上がるのは80年代を中心にその前後の時代。日本は好景気に浮かれ、子供だった僕には見上げる大人達の世界として写っていた時代だ。自分が敵なしの若者だった時の、つまり自分の時代(テレビ番組、音楽、時代を先導する人々)と思っていた時代より少し前の、憧れるが決して追い付けず、そして最早古くてそのままは今使えない、カッコよくてダサい世界があった。
いや、今でも。先輩達の時代は古めかしく見え、憧れでもある。80年前後が描かれると、そんな感情が刺激される。
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- 感想投稿日 : 2022年9月22日
- 読了日 : 2022年9月22日
- 本棚登録日 : 2022年9月22日
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