自衛隊メンタル教官が教える イライラ・怒りをとる技術 (朝日新書)

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  • 朝日新聞出版 (2022年4月13日発売)
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■人類の歴史は400万年とも言われているが、人類の歴史を1月1日から始まる1年に例えると、人類最古の土器が使われた1万6500年前が12月31日の夜の9時過ぎ頃の話になる。四大文明が生まれた5000年前は夜11時。電気が発明され夜も活発に活動できるようになったのは夜11時30分。インターネットが発明されたのは年が変わる20秒前のこと。
 つまり私たちの無意識には、このように長い原始時代を生き延びるためのプログラムがしっかり刻み込まれており、それは、ほんの短い現代社会という環境ではまだ修正されてされていない。
 今は基本的に、猛獣に襲われることも、夏の暑さ、冬の寒さで死ぬことも少なくコンビニに行けば簡単に食べ物が手に入る時代。にもかかわらず「感情」は原始人時代と同じように働くので現代では過剰な働きになってしまう。
 文明社会では感情の本来の働きより、その副作用の方が目立つようになってしまっている。怒りをはじめ、不安や悲しみ、妬みなども、副作用の印象が強くなり、いわゆる「ネガティブ感情」として嫌われてしまっている。
■地震とは予想される刺激に対し、「今の自分で何とかなる」と感じられる状態のこと。自信のある人は怒りにくい。
①物事が「できる」自信
②健康や身体機能の自信
③仲間がいるという自信
■人間は理性と感情で動くが、疲れてくると「感情」に乗っ取られる。
■原始人モードで考えれば、子供たちに最初に教えるべきは「怖い動物が来たら逃げろ」だ。これからの時代は、自立、自己責任の時代。言い換えると一人で戦わなければならない時代。しかも、今まで通用してきたスキルが効かないぐらい変化が激しい。どんな強敵や環境の変化が子供の未来に待ち構えているかわからない。
 仕事でも頑張って続けなければ大成しない時代なら、続けることに意味があったが、これからは転職も当たり前の時代。ただ続けることだけにこだわると、ブラック企業から逃げ遅れる。
 そんな時代を生きる今の子供たちにまず教えるべきは、①逃げること、②助けを求めること、③できないと言うことの3点。この3点を教えた上で条件が揃ったよい環境ならば、少し頑張ることを教えるくらいがちょうど良い。「頑張る」はエネルギーを使うこと。条件が悪いなら、そもそも動かないか、全力で逃げる方が生き物として生存率は高くなる。

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感想投稿日 : 2022年12月30日
読了日 : 2022年12月27日
本棚登録日 : 2022年12月27日

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